妊活中、マタニティマークを見るのが辛いときに心がけたこと

妊活・不妊治療中、街中で妊婦さんやマタニティマークを見るのが辛い……。
そんな風に感じて、自分を責めてしまっていませんか?
成人向けのカウンセリングをお受けしている中で、そして私自身の過去の不妊治療の経験からも、これは非常に多くの方が抱える切実な悩みです。妊婦さんが悪いわけじゃない、頭では十分にわかっているのに、「なんで私だけ……」「こんなに頑張っているのに」と、他者と自分を比較して落ち込んでしまうのは、決してあなたが冷たい人間・弱い人間だからではありません。
今回は臨床心理士としての視点と、治療を経て現在子育て中のひとりの母親としての経験を交え、あのマークを見て胸がチクッとしたときの「心の守り方」をシェアしたいと思います。
マタニティマークが辛いのは「私」だけ?
不妊治療中の方にとって、マタニティマークはどのような存在でしょうか。 ネット上の声やカウンセリングでのご相談を伺うと、受け止め方は本当に人それぞれです。
- 「あやかりたい」「微笑ましい」と感じる方 「ご利益が欲しいから待ち受けにしたい」「純粋に元気な赤ちゃんが生まれるよう願う」という方もいらっしゃいます。
- 「見るのがつらい」「胸がえぐられる」と感じる方 「自分だけが取り残されているように感じる」「優先席に座るのが怖い」「不妊治療クリニックの周辺で見るのが一番こたえる」など、ネガティブな感情を抱く方も一定数おられます。
筆者もいつもは微笑ましくみえても、治療が上手くいかない時期はマタニティマークが目に入ると落ち込みましたし、妊娠中もとくに安定期にはいるまでは、マークを見ると少し緊張してしまうことがあるほどでした。
自分だけ世界から取り残されいているような気分になったり、徒歩10分程度の商店街で何人もの妊婦さんとすれ違った日には「私は前世でコウノトリの狩猟でもしていて、そのせいでコウノトリに嫌われているのかもしれない……」、「少子化なんて嘘だよね」、「健康な20〜30代はあれが普通なんだろうなぁ」卑屈になったこともありました。
「こんなにがんばっているのに、なんで自分はダメなんだろう」、弱っているときほどあのマークはじわじわボディブローのように効いてくるかもしれません。
「辛い」と感じる自分はおかしくない、まずはそう知ってください。そして、そう思えるほど真剣に妊活やあなた自身の人生と向き合っていることを理解されてください。
辛いときに実践したい2つの「心の防衛策」
そんな私が、落ち込みすぎるのを防ぐために心がけていた2つのことをご紹介します。
心理学的にも理にかなったストレス対処法(コーピング)です。
1. 心の中では「ネガティブな感情」を出してもヨシとする(感情の受容)
私は自分が妊娠しづらいとわかった当初、湧き上がる自分の「ドス黒い気持ち」を認めることができませんでした。
「目の前の妊婦さんも苦労されたのかもしれない」と必死に合理化し、羨ましいという気持ちに蓋をして、いい子ちゃんぶっていたのです。心理のプロとして働いているのに、自分の不快感ひとつコントロールできないのか……と情けなく思うこともありました。 しかし、周囲が妊娠ラッシュになるにつれ、頭での合理化では心の蓋が閉まらなくなりました。
そこで思い切って、「つらいものはつらいんじゃ!」と、心の中でキレることを許可しました。
心の中は誰にも侵されない自由な領域です。無理して相手を慮ろうとしなくていい。ひとしきり心の中でネガティブな感情をぶちまけると、不思議と頭の中をぐるぐる回っていた落ち込みが小さくなることに気づきました。自分の黒い感情を否定せず、「辛いよね」と認めることが、まず大事なセルフケアで回復への第一歩です。
2. 物理的に「目に入らないように」環境を調整する(環境調整)
ストレッサー(ストレスの原因)がなければ、ストレスを感じる機会は減ります。
治療が上手くいかないときは、あえて妊婦さんやマタニティマークに遭遇しない場所を選んで行動していました。
◎ 積極的に行った場所(おすすめ)
- ジムやスパ・サウナ: 妊娠中や子育て中には行きづらい場所です。ヨガなどで自分の体に集中すると、体にいいことをしている達成感も得られました。
- バーなどのナイトスポット: 美味しいお酒の飲めるバーや、夜営業の純喫茶、本格的な台湾茶が飲めるカフェなど。アルコールやカフェイン制限があるためか、妊婦さんに遭遇しにくい空間でした。
- 大人の習い事: 私は台湾華語(中国語)スクールに通っていました。勉強に没頭し、頑張ればスコアが伸びる環境は、不妊治療中の「頑張っても報われない虚しさ」を埋めてくれました。
- 旅行:育児・介護中は気軽にいけないですし、手軽に環境や気分を大きく帰ることができるのでおすすめです。筆者はソロ活・一人旅が好きなので、仕事後にカバン一つでLCCの深夜便を利用して近場のアジアにちょくちょく行っていました。
- 休日のオフィス街:東京でいうと例えば日本橋などは土休日でもファミリーは少なめです。オフィス街のカフェやレストランは土休日もソロ活の穴場です。
× 避けた場所(無理に行かない)
- 電車の優先席付近: 言わずもがな、遭遇率が高い場所です。
- 休日の大型ショッピングモール: ファミリー層が多い休日は避け、平日に有給を取って行くかもしくは夕方以降の時間帯に行くようにしました。
- 平日日中のデパ地下: 駅直結で天候に左右されず歩きやすいため、運動や気分転換を兼ねて訪れる妊婦さんが意外と多いスポットです。
- 安産祈願の神社・お寺: 子授け祈願に行く際は、子授けに特化した神社仏閣を選び、戌の日参りで賑わう場所は避けました。
- 産院と同一敷地内の不妊治療クリニック:すでに通院中でしたら調整が難しいかもしれませんが、もし転院をご検討の方は考慮してもいいかもしれません。
つらい時は無理をしない。心の中はいつも自由でいよう
以上、私が実践していた妊活中のライフハックでした。
まとめは次のとおりです。
- つらいと思う自分の感情を肯定すること。
- 弱っている時は無理をせず、物理的に見える景色を変えること。
外の世界を少しだけ自分に優しく調整して、心の中の自由を守り抜いてください。
それでも「やっぱり辛くてどうしようもない」「憂鬱な気分がずっと晴れない」という場合は、心がSOSを出しているサインかもしれません。一人で抱え込まず、心の専門家を頼ることも選択肢に入れてみてください。
当カウンセリングオフィスでは、臨床心理士によるオンライン不妊カウンセリングを行っています。
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オンラインカウンセリング・対面(女性のみ)ともにご利用いただけます。

