妊活・不妊治療と仕事(キャリア)の両立は無理?悩んだ私が心がけた一つのこと

令和5年(2023年)の平均初産年齢は31.0歳。
この時期は多くの女性にとって仕事に慣れ、自分の得意分野が見えてくる「キャリアがノってきた時期」と重なります。
だからこそ、妊活(不妊治療)とキャリアの両立にも悩む方は少なくはありません。
「子どもも欲しいけど仕事もしたい、贅沢な悩みなのか?」
そんな風に感じて、自分を責めてしまっていませんか?
今回はそんな葛藤を抱える方に、少しでも心が軽くなるための「選択のヒント」をお伝えします。
妊活と仕事の両立、なぜこんなに大変なのか。
結論から言うと、不妊治療と仕事の両立は本当に大変で、ストレスフルです。
「職場と相談したけれど、環境調整がうまくいかない」と悩む方は、2026年現在でもまだ多くいらっしゃいます。
厚生労働省の調査によると、不妊治療を経験した方のうち**約4人に1人(26.1%)**が、仕事との両立ができずに離職、雇用形態の変更、あるいは治療の断念を経験しています。
【両立が困難な主な理由】
- 予測できない通院回数の多さ
- 通院と仕事の日程調整の難しさ
- 身体的、そして何より「精神面」での負担の大きさ
あなたがいま辛いと感じているのは、決してあなたの努力不足やわがままではありません。データが示す通り、社会構造的な壁でもあるのです。
【筆者の体験談】キャリアか治療か。悩み抜いた日々
当時、私は正社員としてクリニックの主戦力で働いており、仕事へのモチベーションも非常に高い時期でした。妊娠のために体外受精が必要なことは以前から薄々わかっていたものの、実際の「両立の厳しさ」は想像を絶するものでした。
治療がステップアップするにつれ、予期せぬ通院、休み時間の調整、遅刻や早退が生じます。 私はカウンセラーという「替えの効かない仕事」をしており、患者さんが安心してお話しできる場所を守るため、突発的な休みはどうしても避けたいことでした。
上司にも相談しましたが、当時は柔軟な働き方への配慮を得るのが難しく、非常勤への切り替えもできない環境。現実的に「退職」か「転職」を考えざるを得なくなりました。
折角積み重ねたキャリアなのに、
一生懸命修行をしてきたのに、
自分は仕事を続けたいのに、
願って不妊になったわけではないのに、なんでこんなことになったんだろう…そんな悔しさでいっぱいでした。
不妊治療は「仕事の選択」「治療法の選択」「お金の工面」など、常に何かを決めて、何かを手放すことの連続で、心身ともに疲れ果てていました。
私が「正社員を手放す」と決めた理由
そんな私が最終的に出した結論は、「やらずに後悔することを優先させて、一旦退職する」という選択でした。産休育休、ボーナス、社会保障もすべて手放しました。
その決断に至った理由は以下の2つです。
- 職業人としての責任: 自己都合の突発的な休みで、患者さんに迷惑をかけたくなかったから。これを続けると、後々のキャリアに悪い意味で引きずると思ったため。
- 自分の人生への責任: 1秒でも若いうちに体外受精に挑戦しないと、将来絶対に後悔すると思ったから。
「やらないで後悔するよりも、やって失敗する方が諦めがつく」 。妊活に限らず、やらなかったときに後悔しそうなことを優先するという観点で、私は「完璧な理想」を手放しました。
仕事を手放して見えた「自分軸」という新しい景色
不本意ながら仕事を辞めたことは、当時の私にとって大きな喪失体験でした。 自分の一部がもぎ取られたような寂しさを覚えたのも事実です。
しかし、突発的な通院に対応できるようになり、治療に専念できる環境が整いました。
薬の副作用で辛い時は思う存分休めるため、体力だけでなく「心」にも余裕が生まれました。
(あと夜ふかしの背徳感も、なかなか良かったです)
なにより、「患者さん・クライエントさんを第一にする」という自分のポリシーを守り抜けたことで、職業人としての罪悪感が消えました。
満足な環境ではありませんでしたが、末長く心理士を続けていきたいという熱意も高まりました。
仕事をやめたらすぐ妊娠・出産できるわけではないが、自分軸が育つ。
その後、第一子を出産したのは正社員の仕事を辞めてから8年もたってからでした。
不妊治療で仕事を辞めたからといって、必ずしもすぐに妊娠・出産できるわけではありませんでした。
しかし、世間的に「◯◯が望ましい」「◯◯すべき」という外側の価値観に流されず、自分が大切にしたいことを大切にすることができるようになったと思います。
またこの経験は「子どもがいてもいなくても、人生それなりに充実して生きられるかもしれない」という自信ももたらしてくれました。
この時学んだ「人生の優先順位のつけ方」や「完璧を手放す勇気」は、その後の育児や、家族の形に合わせて働き方を変える現在にも大いに役立っています。
もちろん、私の経験はあくまで一つのケースです。
「キャリアも治療も絶対に守りたい」と強く感じるのであれば、体調やメンタルが辛くても、今は両立を頑張り抜く方が後悔しないのかもしれません。
あなたの心の一番奥にある声に、ぜひ耳を傾けてみてください。不妊治療の先の育児や、介護などで家族の変化に合わせて働き方を変えなくてはならない現在にも、人生の優先順位をつける考え方と完璧な理想を手放す勇気は役に立っているように思います。
余談・後日談:正社員のキャリアを手放した10年後
キャリアもリスタートできるし、保活もなんとかなる
ここからは出産後の話になります。
私は妊娠中のトラブルなどで、結局ほぼ無職状態で出産することになりました。
私自身の個人的な見解ですが、正社員の肩書きや育休制度は「あれば金銭的にありがたいし保育園に預ける上では有利になる。でも、なくてもなんとかなる」という見解です。
保育認定の制度や近隣の保育園の研究を重ねた結果、子どもを出産後に保活をして保育園に入園し、再び心理の仕事につくことができました。
(その話は機会があればまたいつか詳しく。)
当カウンセリングオフィスでは、臨床心理士によるオンライン不妊カウンセリングを行っています。
思い立った時に、ご自宅からリラックスしてお話しいただけます。
オンラインカウンセリング・対面(女性のみ)ともにご利用いただけます。

